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他方、93年は6短期の借款と証券取引に基づくものとに分けられる。 貿易金融は、輸出業者(シッパーズ)が輸入業者に代金の支払いを猶予するシッパーズ・ユーザンス(満期期間1年以下)や輸出前受金・輸入前払い金などをいう。
借款には、外為銀行以外の居住者が非居住者から短期で借り入れるインパクト。 ローン(使途の限定されないローン)などが計上される。
85年5月に、ユーロ円インパクト・ローンが解禁になって以来、それが借款の中心になっている(ユーロ円については、60~65頁参照)。 短期の証券取引は、1年以下の短期の証券取引に伴う資本の流出入である海外で発行された譲渡可能性定期預金(CD)やコマーシャル・ペーパー(CPO企業が資金調達のため発行する無担保の短期約束手形)の取得や処分などをいう。
例えば、日本の居住者(機関投資家や他の金融機関や企業や個人)が海外で発行されたCDを取得する場合には、短期資本収支の支払い、すなわち赤字要因になり、それを外国の投資家(非居住者)に売却する場合には、短期資本の流入、すなわち黒字要因になる。 経常収支と長期資本収支を合計したものを基礎収支といい、それに(狭義の)短期資本収支を加えたものを総合収支という。
総合収支の黒字と赤字がどのように処理されたかを示すものが、政府・日本銀行及び外国為替銀行の短期資本取引を示す「金融勘定」である。 輸出代金の回収に即して説明しよう。
輸出が1万ドルであるから、取引だけを考えれば輸入が存在しないので、日本の経常収支は1万ドルの黒字になる他方、日本のX銀行は二ューョークのY銀行からドル預金の形で支払いを受ける。 具体的には、X銀行がY銀行にドル預金(満期1年未満の短期資本)をしたことに他ならないから、日本の対外債権の増加を意味し、広義の短期資本収支の赤字の増加に相当する。

国際収支統計ではX銀行の対外債権の増加は金融勘定に計上される。 例からも分かるように、金融勘定を除いた資本取引が存在しなければ、経常収支がまま総合収支になるので、1万ドルの総合収支の黒字が金融勘定における対外債権の増加に対応する。
資本収支の赤字・黒字の定義からいえば、X銀行の対外債権は増加しているから、金融勘定は赤字になる。 総合収支の黒字・赤字は外貨準備の増減によっても処理される。
X銀行のドル預金が増加した。 X銀行がドル預金を政府・日本銀行に売却すると、政府、日本銀行の対外資産が増加する。
政府、日本銀行が保有する対外資産のうち、対外支払いに備えて保有される部分を外貨準備という。 外貨準備の増加も対外資産の増加であるから、金融勘定の赤字になる。
銀行と政府・日本銀行が外国へ貸し付けたり、外貨建て短期証券を購入した金額の方が、外国から借り入れたり、円建て短期証券を売却した金額よりも大きいことを意味する。 つまり金融国勘定全体では保有する対外資産が増加したということである。
なお、金融勘定における公的部門の収支を、公的決済収支という政府、日本銀行が保有する外貨準備(主としてドル)の増減と対外短期純資産(対外純資産の意味は国際収支の黒字・赤字の意味ここで、国際収支が黒字であるとか、赤字であるとかいう意味について説明しておこう。 経常収支は1万ドルの黒字である。
狭義の資本取引は存在しないので、経常収支の黒字がまま総合収支の黒字になる。 他方、説明したように、X銀行のドル預金が増えるので金融勘定は1万ドルの赤字(ドル預金という対外資産の増加は、資本収支の赤字であることに注意)になる。
狭義の資本収支との金融勘定を合計したものを、広義の資本収支と定義すると、国際収支は経常収支と広義の資本収支の合計に等しい経常収支と狭義の資本収支と金融勘定の合計でもある。 日本の国際収支上マイナス3000ドルの直接投資として計上される。
マイナスになるのは、直接投資それ自体は日本の対外債権の獲得であり、資本収支上マイナス(資本の支払い)で定義されるからである日本の機関投資家が、X銀行が増やした1万ドルの預金のうち、5000ドルを買い取り、ドルで米国国債を購入したとしよう。 日本の国際収支上、証券投資のマイナス5000ドルとして計上される。

これもマイナスになるのは、機関投資家による外国証券の投資は対外債権の増加であり、資本の支払いだからである。 なお、すべての取引を合計した意味での国際収支は必ずゼロになると述べたが、実際の統計では誤差・脱漏があるため、国際収支も必ずしもゼロにはなっておらず、誤差・脱漏を総合収支に含めて定義している。
誤差・脱漏は経常収支の受け取りから差し引かれて、総合収支が計算されている。 貿易などの経常取引において、日本は1314億ドルのドルを受け取った。
受け取ったドルのうち、783億ドルを長期の直接投資やドル建ての証券投資のために使い、144億ドルを短期のドル建て資産の取得のために使った。 日本は、両者を合わせた狭義の資本取引を通して、経常取引から取得したドルで外国の資産を92義の資本収支に誤差・脱漏を加えたものを経常収支から差し引くと、384億ドルがドルの受け取りとして残る。
これが総合収支である。 384億ドルのうち、約150億ドル(正確には149億7400万ドル)を外国為替銀行が、残る1135億ドル(公的決済収支である)を政府と日本銀行からなる公的部門が、それぞれ外国資産を取得するために使った。
金融勘定全体では384億ドルだけ外国資産が増えたわけである。 金融勘定の取引において、外国資産が増加する場合、狭義の資本取引と同じように数値の前に△(マイナス)をつけて、赤字と定義した。
それに対して、MF方式の国際収支表では、金融勘定における外国資産の増加には、△をつけず、逆に黒字と定義されている狭義の資本取引と金融勘定の符号が逆になるのは紛らわしいので、広引における外国資産の増加には、すべて△をつけて表し、赤字と定義することにする。 日本が外国に資本を貸すことは、日本が対外債権を持つことを意味し、対外債権は対外資産(外国資産)とも呼ばれる。

他方、日本が外国から資本を借り入れることは、対外債務を負うことであり、対外債務は対外負債とも呼ばれる。 対外資産の増加から対外負債の増加を差し引いたものを対外純資産の増加という。
右の定義から分かるように、日本の資本収支が赤字になると対外純資産は増加する。 対外純資産が増加することを日本が金持ちになることと考えれば、資本収支が赤字になることは日本がだんだん金持ちになることを意味する。
狭義の資本収支+マイナスの金融勘定、経常収支+狭義の資本収支+マイナスの金融勘定。 国は不足の資金をどこからか調達してこなければならない。
これを、経常収支のファイナンスという。 狭義の資本収支が8000の黒字であることは、国の外為銀行を除いた民間部門が短期の貿易金融や長期の証券発行などの方法によって、8000の資金を外国から調達することによって、不足資金1万のうち80%を埋めたこと意味する。
これを、経常収支赤字のうち80%は、外為銀行を除いた民間部門による対外債務の増加(外国からの借り入れ)によってファイナンスされたという。 残る2000の不足資金は、外為銀行と公的部門によってファイナンスされている。

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